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マイルス・デイヴィス

 人種(レイス)という意味で非常に面白い人がこのマイルス・デイヴィス(Miles Davis)です。

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 彼は黒人としては非常に裕福な家に生まれ(歯科医の息子です)高い教育を受けた人です。
 JAZZ史上最大の巨人、と言われていますがチャーリー・パーカーやルイ・アームストロングのように本能的?な天才とは異なり、JAZZを知的に分析して、理論的、探究的に道を究めた人だと思います。
 「スケッチ・オブ・スペイン」(Sketches of Spain)のフレーズの繰り返しなどを聴いていると、そんな気がします。

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 同時代のライバルに白人のチェット・ベイカー(Chet Baker)がいます。
 JAZZの歴史においてはマイルスの足下にも及びませんが、マイルスは度々チェットについて言及しています。
 曰く、アイツは白人でハンサムだから人気があるんだ。
 曰く、女、子供向けの音楽だ。
 曰く、黒人JAZZミュージシャンは皆、ドラッグをやってるって?馬鹿を言うんじゃない。一番ヒドイのはチェット・ベイカーじゃないか!?
 ほとんどが悪口なのですが、チェットの一番驚くべき点はJAZZ史上、初めてと言ってもいい白人の大スターだったということです。
 大西がこのブログで度々書いてきたように音楽(JAZZ)とスポーツ(ボクシング)の世界では黒人が絶対優利ですから、白人のJAZZスター、という存在自体が当時は衝撃的だったのです。
 それも高価で黒人が触れにくいピアノや女性の美人シンガー、お金のかかるビッグバンドなどではなく、安価で黒人が接しやすく、しかも唇から息を吹き込むというプリミティブな奏法のトランペットで成功したということ。
 今の若い人に説明するなら、ラップにおけるエミネムがやや近いでしょうか。

 彼はトランペットだけではなく歌も素晴らしく「シングス(Chet Baker Sings)」というアルバムがあるくらいです。

 黒人のミュージシャンは器楽演奏者でも歌の上手い人が多く、ルイ・アームストロングなど味のあるヴォーカルで有名ですが、マイルスは全く歌いません。
 JAZZに限らず音楽の世界では黒人=天才、生まれ持った才能、歌がうまい、白人=努力型、勤勉、黒人の真似、歌が下手、というパターンが多いのですが、マイルスとチェットは正反対なのです。
 マイルスは誰もが天才と言いますが、実はすごい努力家、勉強家で様々なミュージシャンから影響を受け、クール・ジャズを完成させたり、電気楽器を取り入れてフュージョンの原型を造ったり、非常に長い期間に渡って自分にもJAZZにも革命を起こし続け、長生きもしました。
 対するチェットは失礼ですが、頭が悪いとしか思えないほどだらしがなく、いい加減で、酒やドラッグに溺れ、せっかくの才能を生かしきれず、早死にをしています。

 JAZZファン10人に聞けば10人がマイルスを選ぶと思いますが、私はチェットが好きなのです。

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 これがチェット・ベイカーです。

 ずっとチェットの悪口を言ってきたマイルスですが、チェットが死んだ時は「アイツのJAZZはホンモノだった」と発言しています。
 何よりトランぺッターであるにもかかわらず歌が上手く、何も考えずに次々と音楽を生み出せるチェットのことを秘かに尊敬し、うらやましく思っていたのではないでしょうか。
 JAZZの歴史においては比べ物にならない存在ですが、マイルスはチェットのことを認めていたと思います。

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 勧められるアルバムは初期の「シングス」と後期の「メモリーズ(Memories "Chet Baker in Tokyo")」です。

 マイルスは全てのアルバムが素晴らしく一つや二つには絞りきれません。
 個人的に好きなのは「ビッチェズ・ブリュー(Bitches Brew)」です。

 ああ、音楽というものは何て素晴らしいのでしょう!?

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FC2ブログへようこそ!画家の大西信之です。日本とアメリカのファインアートとポップカルチャーに興味があります。最初は自分の仕事、ゆくゆくはその他の事柄についても取り上げていきたいと思います。

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