FC2ブログ

村上隆とフィギュア 4

 ここまで日本の現代美術について、かゆい所に手が届くような解りやすい文章を書いてきました。

 現代美術の専門家ではない一般の方にとって、どうしても納得できないのは、ボーメが作ったフィギュアなのに何故、村上隆の作品なのか、ということではないでしょうか?
 これについては少し難しいのですが、説明しましょう。

images-25_20150430111146e85.jpg
 
 フィギュア作品を発表していた頃、村上隆は日本の美術メディアで「発注芸術」という言葉を使っていました。
 ボーメにフィギュアを発注したのは自分だから、あれは村上隆の作品だ、と説明していたのです。

 発注芸術(ORDER MADE ART オーダーメイド・アート)とは、元々アメリカで直方体のような抽象的な立体物をギャラリーに設置する際、作家の手作りだと工芸品や従来の彫刻作品のような作家の手のあとがどうしても残ってしまうため、町工場などに発注して、完全に工業製品のようなニュートラルな立体物を作るための手法のことを言います。
 ボーメのようなものすごく個性的な作家に発注したら、作家の手のあとどころではなくなってしまいます。
 この理屈で言うと、ルネッサンスのダ・ヴィンチやミケランジェロの作品はメディチ家が発注したからメディチ家の発注芸術、江戸時代、売れっ子の浮世絵師を多数かかえ一世を風靡した版元、蔦屋重三郎は写楽も歌麿も全部、蔦屋の発注芸術、ということになってしまいます。
 日本の美術評論家は恐らく本来の発注芸術(ORDER MADE ART)の意味をよく知らなかったのでしょう。
 村上隆に言われるがままに「あれは村上隆の発注芸術」と美術雑誌などに書いていたのです。

 つまり、日本の美術評論家の見解としては「確かに作ったのはボーメだが、あれは村上隆の発注芸術」ということなのです。

 どうです。

 皆さん、納得できましたか?

スポンサーサイト



奈良美智とスーパーフラット

 奈良美智のファンももしかしたらこのブログを読んでくれているかもしれません。
 
 かつて、ある日本のギャラリストが奈良美智とアメリカ人画家クリスチャン・ラッセンはファン層が同じだ、と言ったことがあります。
 少しでもアートに関心のある人なら、あのような江ノ島の観光記念の竜宮城の絵ハガキのようなクリスチャン・ラッセン(そういうものはあっていいし、そういうものを買い求める人もいていいのです。しかし、それと奈良美智が一緒だと言ったら明らかに間違いです)の名前を出す訳がありません。

images-2.jpg

 絵も怒っています(笑)

 そこで、本題です。

 「パワーパフガールズ」はアメリカではディズニー以降最も成功したアニメ(英語で言うTOON)と言われています。
 日本人は知りませんがアメリカではアメリカ人が初めて作った本格的な日本風のアニメ(英語で言うANIME)と言われています。
 日本風のアニメ(ANIME)とは少ないセル画(低予算)、シャープな動き、歌舞伎の見栄のような静止画、など色々ありますが、何といってもわずか二頭身の少女(幼女?)が大人の男性より強い不条理、大きすぎる目、ヒロインなのに性格がだらしなく凶暴、など設定のすべてが非常に日本的だった所にあるのです。
 このアニメのアメリカでの人気はものすごく、ある年頃の少女であれば(男性でも)知らない人は絶対にいません。
 そのアメリカの観客が皆、奈良美智の絵を見てパワーパフガールズみたいだ、と言ったのです。

 驚きでしょう?

img008.jpg

 アメリカ人の中には奈良美智がオリジナルでパワーパフガールズはその真似ではないか?と言った人もいたほどです。
(本当の話です)
 奈良とパワーパフガールズの作者の名誉のために言っておきますが、この2人はお互いのこと(作品)を全く知らず、お互いに全く影響を受けていません。
 全くの偶然に日本とアメリカでほぼ同時期に非常によく似たものが創作されていたのです。
 そして、私は日本人ですがこの2人は本当によく似ていると思います。

 2人のファンが聞いたら怒るかもしれません。

 しかし、奈良美智ファンの感想があれば、ぜひ聞いてみたいと思います。

スーパーフラットと奈良美智

 「スーパーフラット」展で最も人気を集めたのは、奈良美智でした。

img_858391_12623348_0_2015041014331047a.jpg

 この展覧会は日本のマス・メディアにも大きく取り上げられましたが、アメリカの観客の声を正確に伝えたものは少なかったように思います。
 多くの日本のメディアが現地にいましたが、恐らく英語が不自由だったか、観客の言っていることがよく理解出来なかったか、どちらかだと思います。

 多くのアメリカの観客が言っていたのは「パワーパフガールズ(THE POWERPUFF GIRLS)みたいだ」ということです。
 当時、10代、20代のアメリカ人が奈良美智の絵を見れば、ほぼ全員が「パワーパフガールズみたいだ」と言ったと思います。

img001_20150410145445ca3.jpg

 これが「パワーパフガールズ」です。

スーパーフラット 3

 ロサンゼルスで開かれた「スーパーフラット」展で最も人気を集めたのは、奈良美智でした。
 展覧会を見た多くのアメリカ人が奈良の作品に注目していました。
 正確なアンケートを採ったわけではありませんが、大西の友人、知人の多くが奈良の作品が一番よかったと言っていました。
 では、それは何故でしょう?

 ある世代のアメリカ人であればほぼすべての人が解り、ほぼすべての日本人が解らない大きな理由がそこにはあったのです。

images-3.jpg

スーパーフラット 2

 2001年、ロサンゼルス現代美術館、通称MOCAの別館、パシフィック・デザイン・センターで「スーパーフラット」展が開かれました。
 何故、この展覧会が日本の現代美術にとって重要なのでしょう?

 ズバリ、それは奈良美智が参加していたからです。

 村上隆が企画(キュレート)したこの展覧会はグルーヴィジョンズ、ヒロ杉山などいささか見当はずれの人選もありましたが、あらゆる不完全さや過不足、欠点の批判を乗り越えて、それでもなお大成功と言えるのは奈良美智が参加していたからです。
 奈良美智こそこの時、欧米、特にアメリカで最も求められていた日本人アーチストでした。
 この時の奈良の現地(アメリカ)での人気と評価は、はっきり言って日本での予想をはるかに上回るものでした。

 それは、日本の評論家や奈良の熱心なファンですら想像もつかないほど高く、素晴らしいものだったのです。

img002_2015040620514266c.jpg

スーパーフラット

 これは日本の現代美術が世界の第一線に躍り出て行った瞬間のことを記した物語です。
 それは、身震いするほどエキサイティングでスリリングな物語でした。

 「スーパーフラット」は今となっては少し古くさい流行語です。
 しかし、2001年、ロサンゼルスで開かれた「スーパーフラット」展(Superflat)は日本の現代美術にとって、1998年、ニューヨークで開かれた「ボーメ」展に続く、非常に重要な展覧会でした。

 参加アーチストは金田伊功、佐内正史、鈴木親、富沢ひとし、青島千穂、大井成義、タカノ綾、中ハシ克シゲ、奈良美智、Mr.、村上隆、竹熊健太郎、町野変丸、森本晃司、ボーメ、グルーヴィジョンズ、sleep、ヒロ杉山、中川正博。

 これらのアーチストをアメリカに連れて行ったのは、村上隆です。

 彼はこの展覧会を企画し、まず日本で開き、アメリカに売り込み、交渉をして、難しい条件をまとめ、ついには素晴らしい展覧会を実現させたのです。

IMG_0519.jpg

 「スーパーフラット」展が開かれたロサンゼルス現代美術館、通称MOCAの別館、パシフィック・デザイン・センター(THE PACIFIC DESIGN CENTER)。

 日本でよく知られているMOCAの本館とは違います。

プロフィール

FC2USER776756SGE

Author:FC2USER776756SGE
FC2ブログへようこそ!画家の大西信之です。日本とアメリカのファインアートとポップカルチャーに興味があります。最初は自分の仕事、ゆくゆくはその他の事柄についても取り上げていきたいと思います。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR