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王立宇宙軍 オネアミスの翼 2

日本で評価の高いアニメと欧米で評価の高いアニメは実はかなり違います。

例えば手塚治虫は余り評価が高くありません。
前の記事のクラシック・アニメBEST20で白蛇伝やどうぶつ宝島、パトレイバーからアップルシードまで入っているのに何故、手塚治虫は一本も入っていないのか?
驚いた方も多いでしょう。
ディズニーのライオンキングの元ネタとも言われるジャングル大帝、火の鳥、アメリカでリメイクまでされた鉄腕アトム、劇場用ならクレオパトラ、千夜一夜物語など日本人から見るとクラシック・アニメと言うのにふさわしい作品ばかりです。

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様々な意見がありますが、手塚治虫はアメリカ人から見るとディズニーの影響が強すぎるのです。
鉄腕アトムはミッキーマウスの変形に見えますし、ジャングル大帝は「バンビ」とストーリー、設定(森の王である大ジカの息子、バンビが力強く成長して王の後を継ぐ)がそっくりな上、登場する動物のほとんどがディズニーの模写と言ってもよいくらい似ているのです。
私は日本人ですから手塚治虫の偉大さを疑ったことはありませんし大好きですが、アメリカ人から見るとディズニーの模倣に見えてしまうのです。

欧米のあらゆるベスト10で必ず上位に入る「アキラ」はキャラクターの顔が東洋的でその細く吊り上がった目、低い鼻、突き出した口はどんなアニメ(トゥーン)にも似ておらず、アニメというフォーマット(形式)に収まること自体が奇跡!?と言われるくらいアメリカ人には衝撃的でした。
それまで「ジャパニメーション」(Japanimation)と言ういささか軽蔑した呼び名で、低予算で低品質のジャンク(クズ)フィルムと思われていたのが一転して「アニメ」(ANIME)と言う、独創的で作家性があり、芸術的ですらある尊敬すべきフィルムとはっきり認識されるようになったのはやはりアキラの頃からだったと思います。

そして、その東洋人の顔を最も見事にアニメで表現した作品が、この「王立宇宙軍 オネアミスの翼」だったのです。

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王立宇宙軍 オネアミスの翼

八王子市夢美術館で開催中の「王立宇宙軍 オネアミスの翼展」。
10月27日、山賀博之×大西信之の対談講演会が開かれました。
往復はがきによる抽選という超アナログな申し込み法にも関わらず応募者多数、落選祭りとなりましたが大盛況でした。
皆さん、どうもありがとうございました。

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第二のジャポニズム 7

江戸時代、日本で評価が高かったのは狩野派です。
狩野永徳の「唐獅子図屏風」などがその代表です。

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これが「唐獅子図屏風」です。

欧米ではこの絵も狩野派も全く評価されていません。
そんなことはないっ!と怒る人がいますが本当です。
何故なら当時、中国から輸入した唐獅子(ライオン)図の単なる模写だからです。
模写である証拠の一つに唐獅子(ライオン)の体が馬である事が挙げられます。
ライオンはネコ科の動物ですから本来、巨大な猫のように描かなければならないのですが、馬の体に獅子舞の顔をつけたような奇妙な絵になっています。
つまり、ライオンを見た事の無い中国の画家が描いた絵をそのまま描き写したか、あるいは元の絵では猫のように描かれていたにもかかわらず、それを正確に描き写すことができず馬にしてしまったか、そのどちらかなのです。
いずれにしろ画家は唐獅子(ライオン)を全く見ていないのです。

その絵の成り立ち。
画家の不勉強。
丸写しという志の低さ。
その題名(英語ではチャイニーズ・ライオン)の情けなさ。

あらゆる点で感心しない絵なのですが、日本の学者、評論家は信じられないくらいこの絵を絶賛し、威風堂々、豪放、豪壮、傑出、狩野派の集大成、豪著、華麗、調和、日本の美の頂点と褒めそやすのです。

チャイニーズ・ライオンのどこに日本の美があるのでしょうか?
もう一度言いますね。

チャイニーズ・ライオンのどこが日本の美なのでしょうか?
私、不勉強なので解りません(笑)

絵はそんなに悪いものではありません。
しかし、この絵に対する日本の評論家、専門家の評価はことごとく的はずれで、見当はずれで、ピントのずれた可笑しなものばかりです。
この絵は2・2メートル×4・5メートルと大きく装飾品としては見事なものですが、芸術としてはそれほど大したものではありません。
悪い絵ではありません。
しかし、北斎、広重には遠く及ばず、現代のアニメの傑作にも及ばないものです。

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現代のアニメ「王立宇宙軍 オネアミスの翼」

*「唐獅子図屏風」は歴史的価値、装飾的価値は非常に高いものです。
決して価値の無いものではありません。そこの所はお間違いなく。

王立宇宙軍とオネアミスの翼

日本では王立宇宙軍。

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欧米ではオネアミスの翼 "Wings of Honneamise"

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大西は翻訳の難しさについて書いたことがありますが、日本語→英語の翻訳で最も成功した例がこれだと思います。
"Wing"(単数形)ではなく"Wings"(複数形)。
つまり英題「オネアミスの翼たち」。
これがもし、仮タイトルの「リイクニの翼」だったら当然、翼は"Wing"(単数形)で、これほどよいタイトルにはなっていなかったでしょう。

映画を作った無名の若者たち。
その一人一人が「オネアミスの翼たち」なのです。
いや。
当時、映画を観た世界中の無名の若者たちが「翼たち」なのかもしれません。
数えきれないほどの数の「オネアミスの翼たち」が今、素晴らしい活動をし、映画を作り、アニメを作り、作品を作り、世界中で力強く羽ばたいている。
どうです?
いいタイトルではありませんか。

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八王子市夢美術館で「王立宇宙軍 オネアミスの翼展」(9月14日〜11月11日、月曜休み)が開かれています。

この素晴らしい展覧会を企画した学芸員、浅沼塁もまた「オネアミスの翼たち」の一人なのだと思います。

ps:第二のジャポニズム1〜6も合わせてお読み下さい。

王立宇宙軍(第二のジャポニズム 6)

山賀博之についてお話ししましょう。

山賀博之はアニメ「王立宇宙軍 オネアミスの翼」の監督です。
ここでは「オネアミスの翼」と略します。
欧米では"Royal Space Force"(王立宇宙軍)より"Wings of Honneamise"(オネアミスの翼)の方が一般的だからです。

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「オネアミスの翼」は1987年、山賀が24才の時に作られました。
24才!?
学生やシロウトの自主制作映画ではありません。
株式会社バンダイがスポンサーとなり制作費8億円!?(宣伝費含む)をかけて作られた超大作劇場用アニメ映画です。
地球とソックリですが細部が少しずつ違うパラレルワールドでロケットの打ち上げに挑む若者たちの青春群像劇、とでも言うべき映画です。
驚くべきはこの映画が若干24才の監督の指揮のもと、それよりもっと若いスタッフたちによって作られた、ということです。
アニメというのは実は熟練の手作業による職人たちの共同作業ですから、映画もテレビも長い経験を持つベテランによって作られています。
経験の無い若者が作れる物ではありません。
それがまず第一の奇跡。
もう一つ。
山賀監督のもとに集まった若者たちと言うのが、シン・ゴジラの樋口真嗣。
新世紀エヴァンゲリオンの庵野秀明。
エヴァ、ナディアなどで多くの人気キャラクターを作った貞本義行。
伝説のアニメ会社ゴンゾを創った村濱章司。
ゴンゾ、青の6号の前田真宏。
イラストレーター、キャラクターの赤井孝美。
宮崎駿作品をハーモニーで支えた高屋法子。
それらの才能をまとめて、スポンサーと交渉し、8億円という大金を引き出したオタキングこと評論家、著述家の岡田斗司夫。
今でこそ皆、大家ですがその時は全員が全く無名の若者だったのです。

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ゴッホ「渓斎英泉 花魁」

少し前の記事で19世紀のパリで若い無名の芸術家たちが後に世界を驚かす印象派、ジャポニズムを生み出した、と書きました。

モネがリーダー格でマネがやや年上のライバル。
ルノアール、シスレー、セザンヌ、モリゾ、ドガが次々と集まって、ゴッホとゴーギャンは一時、一緒に住むくらい仲が良くなる。
全員がお互いをよく知っていて、親しく、ライバルとして切磋琢磨し、同時にケンカし、悪口を言い合い、ゴッホとゴーギャンなどはゴッホがゴーギャンを殺す寸前まで仲が悪くなる。
美術ファン、印象派ファンなら誰でも知っている神々たちの神話です。
それとそっくりのことがこの日本でも起きたのです。
才能。
情熱。
世界に対する発信力。
「オネアミスの翼」を作った若者たちは印象派の画家たちと同じくらい良い仕事をし、印象派と同じくらい世界を驚かせたのです。
もう一度、言いますね。

印象派と同じくらい世界を驚かせたのです。

歴史は繰り返します。
しかし、それが何の繰り返しか、最初は誰にも解らないのです。
1986年。
東京の吉祥寺に集まった無名の若者たちは自分たちでも気づかないまま、世界を変えるアニメを作り、世界を変える大きなムーブメントを起こし、第二のジャポニズムを生み出してゆくのです。

そして、その若者たちの中心にいたのが山賀博之なのです。

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何という男でしょう!?

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FC2ブログへようこそ!画家の大西信之です。日本とアメリカのファインアートとポップカルチャーに興味があります。最初は自分の仕事、ゆくゆくはその他の事柄についても取り上げていきたいと思います。

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